相変わらずハワイ進出を検討する企業は多い
海外へ進出を検討する際にハワイは日本人にとって馴染みがあり、他の地域を検討するより気軽に進出出来るのではないか・・・と思われることも多いですが、ハワイと言えどもここはアメリカ。慎重に準備をしないと進出後すぐに撤退・・・という事にもなりかねません。
どのような事に気を付けなければいけないのか、よく見かける、耳にすることを例に挙げてお話ししたいと思います。
1.ビジネスは「居抜き」で買う、またはそのまま引き継ぐ!
新たな場所で新たにビジネスを立ち上げようと思うと様々なハードルがあります。まずは店舗を探す際ハワイを含むアメリカで全く実績がない場合、また会社の代表者がアメリカに住んでいない場合はアメリカでの信用はゼロです。
そこでどういうことが起きるか・・・店舗として借りたい場所を借りることが困難になるかもしれません。いくら日本で素晴らしい会社でもアメリカで実績がない場合説得力に欠けます。賃貸契約を結ぶのに大変な思いをすることも多々あります。
時には会社の代表者が持っているハワイの不動産を担保にして賃貸契約を結ぶということもありますが、これは不動産を持っていれば…の話で、不動産を所有していなければ交渉さえできないこともあります。信用がない場合は先1年分の家賃を前払いすれば契約を検討しても良い・・という大家さんもいます。
大きなショッピングセンターやビジネスビル内にオフィスや店舗を構えようとすると、ビルの所有者がアメリカ本土にある大手のデベロッパーであることもあり、そうなるとハワイの事情をあまり知らず柔軟性がないオーナーもいますので注意が必要です。家賃交渉もなかなかうまくいかないこともあります。(需要が高い場合は尚更です。)
ワイキキなどは好立地の場所は既に他のビジネスに取られてしまっていることも多く、好条件の場所を探すのも難しいので、ビジネスを売却したい・・・と希望しているオーナーのビジネスをそのまま引き継ぐというのがスムーズにいく近道かもしれません。(ただし、何故そのオーナーがビジネスを売却したいのか、手を引きたいのか・・十分に調査してくださいね)
それによって時間もお金もかかるハワイ州の様々なPermit(営業許可)を取る必要もなくPermitも一緒に引き継ぐことが出来ます。改装をする場合はそれにもPermitが必要だったり大家さんからの承認が必要になりますが、改装のPermitも場合に寄っては半年以上かかることもありますので(ハワイタイムですね~)賃貸契約をし、家賃は発生しても営業はまだまだ先までできない・・・という期間も財力があることが必要です。
ハワイに限らずアメリカ移住を希望する日本人向けにコンサルや買収ビジネスの斡旋などのサービスを提供している会社も多々ありますが、政権が代わってから投資ビザなどの取得が厳しくなってきているのも事実ですし、コンサルに全ての情報を頼らずに自分でもデューデリジェンスをすること、ハワイで実際に同じ業種、業界で進出を果たしている人にヒアリングをする(生の声を聴く。なかなか経営&運営は難しく日本のようには行かないと思います)など自分でもきちんと動く事が重要です。
斡旋業は紹介することが仕事、その後の運営、経営はオーナー自身がしなければいけません。特に語学の壁がある場合は注意。ローカルの人間を採用するにしてもミーティングするにしても、ビジネスの交渉をするにしても通訳を通さないと何も出来ない…という事であれば海外進出を検討しない方が良いかもしれません。
その国、その土地には既に多くのビジネス、競合が存在している訳なので、よそ者の私たちが中途半端な気持ちで臨んだところで上手くはいきません。海外進出を決めたらしょっちゅう日本に帰るなどしないで1-3年はじっくりその土地で自分のビジネスに取り組むという姿勢が大切です。
2.現地責任者はローカルの人間を採用する。
よくあるパターンとして、ハワイの責任者として日本から誰かをハワイに送り「あとはよろしくやっといてくれ・・・」とハワイの事を何も知らない日本からの駐在員に全て負かしてしまう経営者もいます。
英語もあまりできず、ハワイにも馴染みが無い人がポンとハワイに送りだされてもその人が出来ることは限られてしまいます。またハワイの事を何も知らない人が日本流のビジネスをしようとハワイに来たとしてもローカルの従業員にそれを理解できるはずはなく、会社側と従業員側に大きなギャップが出来てしまう事もあります。
また先日他の記事で書きましたがアメリカではビザを取得するのが困難になってきています。駐在員を送ろうにも、大使館への追加書類も含め申請→再申請・・・とステップを踏んでもビザが却下されることもあるということも覚えておかないといけません。またビザが下りるまで1年近くかかることもあります。
責任者が1年先までハワイに来なければ、既に契約している店舗の家賃、それ以外の固定費は1年近く何もスタートしていなくても支払い続けないといけません。
前もって十分な時間を取り、実績のあるローカルの人材紹介会社などを利用して現地の責任者はローカル採用をすべき。またその人にある程度の権限を与えることも大切です。ハワイの事を何も知らない日本にいる経営者が全てをコントロールしようとすると、現地ではうまく物事は進みません。経営者とローカルの責任者との信頼関係がとても大切です。
3.日本の常識はハワイの常識ではない
日本の「きめ細かなおもてなし」をアメリカ人が求めているか・・・というと決してそうではありません。アメリカでは何よりも「効率性」や「手軽さ、手ごろさ」が求められます。多少値段が高くても丁寧な上質のサービスを・・・という考えがアメリカ人には通じないこともあります。
ハワイの観光客は6割はアメリカ本土やヨーロッパ、オーストラリアからの観光客です。日本人観光客は多いように感じますが実は2割程度です。
日本人を相手にするビジネスであればその2割を相手にまたはハワイ在住の日本人を相手にする・・・という限られたマーケットである・・という事を知っておくべき。もし大半の観光客を相手にするのであれば日本流の考えでビジネスをすると失敗します。
ハワイに進出するビジネスが1年後存続している割合はかなり低いです。失敗をしないためには上記の点を注意して準備に十分な時間を取って取り組むことが成功のカギだと思います。